福祉

『コウノドリ』から学ぶソーシャルワーカーのお仕事

「社会福祉士」という資格をご存知ですか?

社会福祉士の認知度はあまり高くなく、私自身社会福祉士として働いていたときは、仕事を聞かれて説明しても「介護の仕事ですか」とよく言われていました。

 

確かに介護の現場で働く社会福祉士もいますが活躍の場はそこだけではありません。

社会福祉士(ソーシャルワーカー)について知ってもらうのに何か良い方法はないかなと探していたら意外なところに登場していました。

人気漫画『コウノドリ』です。

今回は『コウノドリ』から学ぶソーシャルワーカーのお仕事と題して社会福祉士をもっと身近に感じてもらうために記事にしました。

人気の医療漫画『コウノドリ』

最初に『コウノドリ』を知らない人のために簡単に紹介します。

『コウノドリ』は産婦人科を舞台にした漫画でモーニング(講談社)で連載中です。

主人公の鴻鳥サクラは産婦人科医でありながら、謎のジャズピアニスト「ベイビー」という2つの顔を持っています。

「聖ペルソナ総合医療センター」を舞台に、そこを訪れる妊婦やその家族そしてペルソナのスタッフたちの関わりが描かれています。

2015年と2017年には、綾野剛さん主演でドラマ化もされました。

コウノドリに登場するソーシャルワーカー向井さん

実はコウノドリにはペルソナのスタッフとしてソーシャルワーカーが登場します。

メディカルソーシャルワーカーの向井さんです。

第1巻の最初のストーリー「受け入れ拒否」から登場していて、搬送されてきた未受診妊婦と話をする場面があります。

お金のことが心配だったなら

妊娠してちゃんと母子手帳をもらえば 無料のチケットが付いてくるし

出産費用だって払えそうにない人には ちゃんと産まれる前に申請すれば出産費用を肩代わりしてくれる

妊婦健診を受けておらず出産直前に運ばれた妊婦。

お金がないことを理由に受診していなかった彼女に対して、ソーシャルワーカーの向井さんが優しく語りかけます。

この場面はソーシャルワーカーの仕事をよく表しているなと思いました。

また24巻の「養子縁組」の話では、予期せぬ妊娠をしてしまった中学生との話し合いの場で向井さんが登場します。

家族状況や妊娠に至った経緯を聞き取りそれを医師たちに伝えています。

メディカルソーシャルワーカーという仕事

メディカルソーシャルワーカー(MSW)は大きな病院などでは、医療福祉相談室や地域連携室などというところにいます。

医療ソーシャルワーカー(いりょうソーシャルワーカー、MSW:Medical Social Worker)とは、保健医療分野におけるソーシャルワーカー(社会福祉士)であり、主に病院において『疾病を有する患者等が、地域や家庭において自立した生活を送ることができるよう、社会福祉の立場から、患者や家族の抱える心理的・社会的な問題の解決・調整を援助し、社会復帰の促進を図る』専門職を指す。

ウィキペディア(Wikipedia)より

MSWとして働くために資格は必須ではありませんが、多くの病院では社会福祉士または精神保健福祉士の資格を持っていることを採用の条件としています。

入院中の患者さんと面談し、退院後の生活がスムーズになるように福祉の制度について説明したり、福祉サービス利用のための手続きなどを行ないます。

コウノドリの向井さんの仕事を例にあげると、未受診妊婦さんの場合は家庭環境などを聞き取り、経済的に困っているということで制度の説明などを行なっています。

また中学生妊婦の話では養子縁組を実施する団体との調整の場面で活躍しています。

本人の希望を尊重して援助してあげる

コウノドリの29巻ではソーシャルワーカーが主役の話が登場します。

医療の狭間で悩む

すべての患者と向き合う、

治療と並ぶ大事な仕事。

これは29巻の帯に書かれたキャッチコピーです。

ネタバレを避けるために詳細は書きませんが「ソーシャルワーカー」の仕事の醍醐味が29巻では描かれています。

 

ここで助産師の小松さんの言葉を紹介します。

医療ソーシャルワーカーはさ・・・

経済的なコトや心理的に悩みのある 患者さんの相談にのってあげて

医療的な面や社会的な面でサポートしているのよ

 

あくまで

患者さんや家族のために

本人の希望を尊重して援助してあげるのよ

 

これまで「コウノドリ」では産科での向井さんの活躍は出てきましたが、今回は他科とのやりとりについても描かれていて、社会福祉士としては嬉しかったです。

 社会福祉士が活躍している場所

コウノドリ以外にも社会福祉士について知ることができるドラマがあります。

サイレント・プア

2014年に深田恭子さん主演で放送されたNHKドラマです。

主人公は東京下町の社会福祉協議会で働くCSW(コミュニティソーシャルワーカー)です。

ゴミ屋敷の主やホームレス、ひきこもりなど社会的孤立に陥る人と対面し、人は何度でも生き直せるという信念をもとに走りまわる女性の話です。

CSWというとあまり聞きなれないかもしれませんが、地域での高齢者の見守りネットワークを作ったり地域と支援が必要な人を結びつける活動をするなど、身近なところで活躍している人はたくさんいます。

 

今回紹介した「コウノドリ」や「サイレント・プア」以外にも学校でスクールソーシャルワーカーとして活躍したり、刑務所で働いている社会福祉士もいます。

さいごに

社会福祉士やソーシャルワーカーというとなかなかイメージがわかないですが、漫画やドラマを通して見ると親しみがわきませんか?

なかなか世間一般では社会福祉士の仕事について知られていませんが、これを機会に社会福祉士の仕事を身近に感じてほしいと思っています。

 

実は私自身「MSW」として働く方に出会いそれをきっかけに社会福祉士のことを知りました。(社会福祉士となってからは、縁あって障がい・高齢者・司法福祉の分野で働いてきました)

社会福祉士はひとことでは説明できないほど奥が深い仕事だしやりがいもあると思います。

 

『コウノドリ』ではMSWの向井さんはペルソナのチームの一員として活躍しています。チームで連携を取りながら仕事をしていくのもこの仕事の大きなポイントです。

『コウノドリ』を手にとってソーシャルワーカーに関心を持ってもらえたら、社会福祉士の1人としてとても嬉しく思います。

では!