Twitterを見ていたら、「育休の間に資格をとっておこうと思った」という資格取得のCMについて、批判の声が流れてきました。
最初に断っておくと、私は育休中ではありません。ただ、「1歳児の母」「保活中」「求職活動中」ではあります。
気になってCMを見たときに、何とも言えない感情が残りました。
結論からいうと、「CMに共感できなかった」の一言です。
炎上した資格取得のCMについて
炎上したのは、ユーキャンのCMです。
「天使ーズ 主婦」で動画を検索すると出てくるかと思います。(あえてここには動画は貼りません)
ベッドで眠る子に布団をかける女性。
「育休の間に資格を取っておこうと思った」
テキストを広げ勉強する女性に、旦那さんが声をかける。
「あんまり頑張りすぎるなよ」
女性は「うん、でも楽しいから」と笑顔で答える。
おおまかなストーリーはこんな感じです。
「育休中にあんな時間はない」
「育休中は暇なのかと思われる」
「育休は育児をするためのもの」
CMを見たママたちから多くの声があがりました。
育休中は勉強する時間があるのか
育休中に資格取得の時間がとれるかどうかは、はっきり言って、女性の置かれた環境によって違うと思います。
赤ちゃんの生活スタイルや性格などによっても大きく変わってきます。
生後数ヶ月で、夜にまとめて寝てくれる子もいれば、1歳過ぎても夜中に何度も起きる子もいます。
お昼寝を決まった時間にする子もいれば、もちろんそうでない子もいるわけです。
はっきり言って、子どもが生まれてくるまで生活スタイルは予想できません。
中にはママにべったりで、1日中抱っこしていないと泣いてしまう子もいます。
「育休中は資格の勉強をする時間があるか」
その人の環境次第ですが、今回多くの女性が声をあげたことにその答えはある気がします。
余裕がなかった私の育児
私の場合、娘が1歳3ヶ月になって、やっと夜にまとめて寝られるようになりました。
それまでは夜中に何度も起こされる生活です。
寝るまでにとにかく時間がかかり、0歳の頃の寝かしつけはほとんど抱っこでした。
お昼寝もなかなかしてくれない。
初めての育児でとにかく必死でした。やっと昼寝をしたら、少しでも疲れをとるために一緒に横になっていました。
生後数ヶ月でまとめて寝てくれる子がうらやましかったです。
ネットで情報を調べ、ネントレ本も購入し、いろいろ試してみるけれどうまくいかない・・・。
離乳食が始まると、あいた時間を見つけて離乳食について調べたり、離乳食のストックを作る生活が始まります。
自分の時間は当然ありません。当時の私は必死すぎて、余裕がありませんでした。
ネットの声を見ていたら、「そんな中でも私は資格取得を頑張った」という声がありました。
「そうなんですね。私にはそのパワーはありませんでした」としか言えません。
いつもなら、「大変な中でも頑張って、本当にすごいですね」くらい言えるはずなのに・・・。
明るさの中に「共感」はなかった
「育児は大変」「自分の時間が取れない」
出産前は頭ではわかっていたつもりですが、実は全然理解できていませんでした。
自分が母親になって初めて感じた喜び。そしてそれと同じくらいの大変さ。
実際に経験してみないとわからないことはたくさんあって、育児がまさにそうでした。
実家・義実家が遠方
結婚した土地に頼れる友人がいない
夫の帰りは遅く土日も仕事
そういった女性はたくさんいて、私もその1人です。
息抜きとしての資格取得をすすめているのならばわかります。
でも、ごめんなさい。私にはそう見えませんでした。
そして私がCMを見た感想は1つだけです。
「小さいうちからまとめて寝てくれる子でいいですね」
部屋をきれいにして、化粧はバッチリ。そして理解のある夫。
キラキラとした明るいこのCMに、「共感」の入る余地がないと感じるのは私だけでしょうか。
育児の合間の資格の勉強
資格マニアというわけではありませんが、私自身、過去にいくつかの資格の勉強をしてきました。
会社員時代に必要にせまられて勉強したこともあれば、仕事をやめて専門学校で勉強した時期もありました。
福祉職についてからは、興味があったFP3級を取得しています。
最近、やっと夜にまとめて寝てくれるようになり、勉強時間をとれるようになりました。
少しずつ自分の時間が取れるようになり、気分転換に始めようと思ったのです。
それでも子どもの寝ている部屋の近くで勉強し、声が聞こえたら何度も勉強を中断するということはしょっちゅうです。
テキストを開いている時、少しだけ育児のことを忘れることができます。
勉強は嫌いではないし、資格をとることも楽しいです。でもそんな私ですら、このCMを見たときに、ざらっとした何とも言えない感じが残りました。
さいごに
このCMを制作したクリエイターを批判したいわけではありません。
「共感」のないCMですね。
ただそれだけを伝えたいです。
最後に私の印象に残っているCMを紹介をしたいと思います。
今回のCMと同じ通信講座「ユーキャン」のもので、蒼井優さん演じるOLが登場するCMです。
「すいません、昨日は休ませてもらって」
上司に謝る女性に返ってきたのは、「休んでたっけ」という言葉。
『私、必要とされてない』
シリーズ化されたこのCMには続きもあります。
蒼井優さん演じるOL松本へ、「松本くんに任せた俺が悪かったんだし」と上司が言い放つのです。
仕事でボロボロになって、雨の中泣き崩れる松本。
FUNKY MONKEY BABYSの「涙」という曲の効果もあり、涙をとめて気持ちを切り替えて立ち上がるOL松本の姿には心打たれたし、「その後立ち上がり、資格の勉強を始める女性」というストーリーはとても自然でした。
私自身、当時は会社で自分が必要とされていると思えず、資格の勉強を始めました。
あのCMがきっかけで勉強を始めたわけではありませんが、影響は少なからずあった気がします。
今回のCMに、9年前のCMと同じように「共感」と「救い」があったならば、また反応は違っていたのかもしれません。
はたして今回のCMを見て、資格の勉強を始めようと思う女性はどれくらいいるのでしょう。
広告は共感を得て、消費者を行動に繋げるものだと思っていたのですが、今は違うのでしょうか?
今回の騒動を見て、ふとそんなことを思ったのでした。
では。