福祉

元社会福祉士ママが「子育て世代包括支援センター」に期待すること

子育て世代包括支援センターをご存知ですか?

妊娠初期から乳幼児期まで継続して相談や支援を受けられる機関です。2017年から市区町村への設置が努力義務とされ、3年を目処に全国展開を目指しています。

すでに事業に取り組んでいる市区町村もありますが、多くの人に浸透し利用が進んでいくのはこれからになりそうです。

実は私がこの「子育て世代包括支援センター」を知ったのはつい最近でした。

おそらくこれから広がっていくだろうセンターについて、自分なりの考えをまとめておきたいと思い、「地域包括支援センター元職員」と「子育て中の母親」という2つの立場から記事にしています。

なお、記事作成にあたっては、厚生労働省のホームページに掲載されている「子育て世代包括支援センター業務ガイドライン」などを参考にしました。

子育て世代地域包括支援センターを知ったきっかけ

現在、地元から離れて専業主婦をしながら子育て中ですが、想像以上に必要な情報が入ってきませんでした。当然ながら予防接種や保育園や幼稚園の入園手続きなど、すべて自分で動かなければいけません。

そんなときに過去に勤務していた高齢者の相談窓口でもあり、介護保険の予防プランの作成などをしている「地域包括支援センター」のことを思い出しました。

子育て中の人たちにもそれぞれ担当者がついて、適切な時期に適切な情報やアドバイスをくれたらと思い調べたところ、「子育て世代包括支援センター」のことを知りました。

子育て世代包括支援センターとは

子育て世代包括支援センターは、妊娠・出産・子育てに関する各種の相談に応じ、必要に応じて支援プランの策定や支援を行うことを目的としています。

例えば妊娠期であれば病院で健診を受けたり、子育て中は小児科や支援センター、保育園や幼稚園など利用するかと思います。

それらをすべて連携を取りながら支援していこうということです。

誰かに相談したいけれど、どこに相談したらいいの?

こんなときに子育て世代包括支援センターがあれば、そこで相談することで適切な機関につなげることができ、またそのときだけで終わらずに継続して見守ることもできます。

市区町村の具体的な取り組み例

2018年4月1日現在761市区町村で取り組みが進んでいます。

具体的に気になる事例をあげてみました。

千葉県浦安市の事例

ディズニーランドで有名な浦安市。こちらの子育て支援の取り組みはニュースでも取り上げられました。

妊娠届出時に子育てケアプラン1回目を作成、保健師と子育てケアマネジャーが同席し、個々の妊婦の状況に応じ、子育て支援サービスや相談窓口を周知し、必要な支援につなげる。

その後は出産前後に子育てケアプラン2回目を作成した際には、「こんにちはあかちゃんギフト(衣料品などの子育て支援グッズ)」と「こんにちは あかちゃんチケット(バウチャー券)」を、1歳の誕生日頃に子育てケアプラン3回目を作成した際には、「ファーストアニバサーリーチケット(バウ チャー券) 」を贈呈する。作成時の相談内容に応じ必要な関係機関につないでいる。平成28年度 子育て世代包括支援センター事例集より

             画像:浦安市ホームページより

ちなみに平成30年度の「こんにちは赤ちゃんギフト」はファミリーリュック、おでかけポーチ、ラトル、3wayマルチケット、刺繍ステッカーです。

これに加えて5000円から1万円の子育て支援チケットというバウチャーももらえます。

子育て世代包括支援センターに期待したいこと

実現可能かどうかは無視して、個人的にこんな取り組みがあればいいなということをあげてみました。

1人1人に担当者がつく

介護保険のケアマネさんは定期的に利用者さんの家を訪問します。

イメージとしたらそんな感じで、1人1人に担当者がついてくれたら、相談もしやすいし、利用しやすいかなと思います。

定期的に面談などを実施してその都度必要な情報をもらえたら嬉しいです。

妊娠期から継続して同じ担当者がついてくれると安心感も違います。

個人のスケジュールを一緒に考えて組んでくれる

予防接種、児童手当の申請や保育園・幼稚園の入園手続きなど知らないでいるとそのままになってしまう重要な手続きって多いですよね。

1歳になったので、この書類を出す時期ですよ!などと教えてもらえるといいなと思います。

書類作成の案内と合わせて、最近の変わった様子がないか聞き取りなどを実施していきます。

できれば公的機関へ提出する事務書類の代行申請などやってくれたら助かるかもしれません。(介護保険の申請などのように)

子ども関係の手続きはとにかく担当部署がいくつかわかれていて、わかりにくいと思うのは私だけでしょうか。

部署が異なるのは仕方ないかもしれませんが、すべてをつないでくれる人がいるととても助かる気がします。

親しみやすい名前にしてほしい

過去に「地域包括支援センター」で勤務していましたが、名前も長いし、なんだか難しそうだし、なかなか覚えてもらえませんでした。

どうせならみんなが覚えやすくて、親しみやすい名前にしてくれたら嬉しいです。

そしてできれば全国共通の名前だと嬉しいです。

転勤などで引っ越しをする方も多いはず。そのたびに名前が違うと混乱しますよね。できれば全国一緒の名前で運営してください!

そしてできれば、プラン作成に当たってのフォーマットは統一書式にしてほしいです。(これは担当者目線になりますが)

育児相談に行って感じたこと

先日育児相談に行ってきました。担当してくれたのは子育て支援センターの職員さんでした。

ずっと子どもと2人きりなので息抜きをしたいことなどを話し、いろいろな制度やサービスを教えてもらいました。そして地区担当の保健師さんにもつないでもらえることになりました。

使えるサービスとして、一時保育やファミリーサポートセンターを紹介していただきました。

しかし当然ながら、すぐ使えるわけではありません。

ここから登録などが必要で、そのためにまた別の窓口に足を運ばなくてはいけないのです。

緊急性のない育児疲れだとしても、正直これはしんどいなと感じました。

窓口で相談をし、その後サービスの案内を受け、利用に向けて登録申請等までできるのが理想です。

もし包括支援センターが正常に機能したら、こういったことも少しは解消できるのではないでしょうか。

まとめ

おそらく今後事業展開していく市区町村が増えていく中で、最初は「育児ノイローゼ」や「産後うつ」、「虐待」などが重点課題になってくると思います。

もちろんそうしたところに力をいれつつも、最終的には妊婦さんや子育て中のすべての人が困ったときに気軽に相談できる窓口になっていってほしいと思っています。

 

今回、初めて育児相談に行きましたが、相談の予約を取るまで本当に悩みました。電話1本ですむのですが、そこまで踏み出せないという人は多いと思います。

 

見えないSOSを発信する人のために。

そして1人でも多くの人たちが笑顔で子育てできるように。

 

「子育て世代包括支援センター」が多くの人にとって身近な機関になることを願います。

では。